法人成りのメリット・デメリット

個人事業主が新たに会社を設立して事業を法人へと変更することを法人成りといいます。
「所得が上がってきたから、法人に変更しようか?」という個人事業主の方は多いと思いますが、
法人成りにはメリットとデメリットがあるので考慮する必要があります。

メリット

役員給与を支給できる

法人となれば、代表者に給与を支給することにより給与を経費として計上することが出来ます。
代表者が得た給与には、所得税・住民税がかかりますが、給与には給与所得控除が認められているので
節税となります。

<個人事業の場合>

所得税 ① 課税所得 5,000,000円
② 所得税 ①×20%-427,500円=572,500円

支払うべき税金=572,500円

<法人成りした場合>

法人税 ① 法人所得 5,000,000円
② 代表者給与 5,000,000円
③ 給与支給後所得 0円
④ 法人税 0円
所得税 ① 代表者給与 5,000,000円
② 給与所得控除 ①×20%+540,000円=1,540,000円
③ 課税所得 ①-②=3,460,000円
④ 所得税 ③×20%-427,500円=264,500円

支払うべき税金=264,500円

法人成りした方が、税金が308,000円も安くなる!

ただし、法人成りすることにより増える税金もあるデメリットも要確認。

退職金支給

個人事業主であれば、退職金を自分が自分に対して支払うことになるので経費と出来ません。
法人であれば代表者に対して退職金を支給することが可能となります。
退職金は、法人で経費になりますので節税へとつながります。
ただし、個人事業主には代わりに小規模企業共済制度があります。

保険料

個人事業主であればどれだけ保険料を支払ったとしても最大12万円までしか所得控除できません。
これに対し、法人であれば保険の契約によりますが支払った保険料の全額が法人の経費とすることが出来ます。
支払う保険料が大きくなる場合には、法人成りを考えた方がいいかもしれません。

消費税

消費税は2年前の売上高が1000万円を超える場合に納税義務者となり消費税を納付しないといけません。
しかし、個人事業者が法人成りにより資本金1000万円以下の法人を設立した場合、
最大で2年間消費税を免税とすることが出来ます。
2年間消費税を納めなくてよいというのは、かなりの節税となります。
ただし、H23年の改正により特定期間(※)における売上高又は給与等支払額が1,000万円を超えた場合、
免税ではなくなるので注意が必要です。

※特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、
 法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間をいいます。

デメリット

均等割りの発生

個人事業主の場合は、赤字で申告すると税金が発生することはありません。
これに対して法人の場合は、赤字申告であっても均等割りという税金が約7万円ほど発生します。
個人事業の場合は発生しないので、法人成り最大のデメリットになります。

設立費用の発生

当然法人を設立するには、登記費用・司法書士への報酬等で約30万円ほど費用が発生します。

事務負担の増大

個人申告に比べて法人申告は、提出する書類も増え内容も難解なものになります。
税理士等の専門家に依頼しないと厳しくなります。
専門家に依頼しなければいけない分当然負担は増えます。
しかし、専門家のアドバイスで税金の金額が何十万と変わることもあるので、専門家に依頼することによる負担増はそれほどないと考えます。

 

メリットとデメリットを総合して判断する必要がありますが、ある程度の課税所得が出ているのであればメリットの方が大きいと考えます。
大きいメリットを4つ挙げましたが、他にもメリットはあります!
法人成りをお考えの方・気になる方は、お気軽にご相談下さい。

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