税制改正について

相続税の改正

平成27年1月1日~発生する相続より以下の改正があります。

基礎控除の減額

相続税の基礎控除に減額の改正が入ります。
相続税の計算算式を簡単に表すと、

相続税=(課税財産-基礎控除)×税率

となるので、基礎控除が減額されると相続税が増えてしまうので増税の改正となります。

改正前 基礎控除=5000万+相続人の人数×1000万
改正後 基礎控除=3000万+相続人の人数×600万

控除額が改正前の60%になってしまうので、相続対策がますます必要となりそうです。

税率構造の改正

上記の算式の税率にも改正が入ります。

各法定相続人の取得金額 税率(改正前) 税率(改正後)
~1000万以下 10% 10%
1000万超~3000万以下 15% 15%
3000万超~5000万以下 20% 20%
5000万超~1億以下 30% 30%
1億超~2億以下 40% 40%
2億超~3億以下 45%
3億超~6億以下 50% 50%
6億超~ 55%

※赤字部分について税率に変更が入ってます。
※法定相続人の取得金額が2億超でない限り無関係ですが増税の改正となります。
※相続財産が多額になりそうな場合には注意が必要です。

未成年者控除・障害者控除の拡大

未成年者や障害者の方が相続人となる場合、控除額がありますがその控除額に改正が入ります。

(未成年者控除)

改正前 20歳までの1年につき6万
改正後 20歳までの1年につき10万

仮に16歳の方が相続人となった場合、4年×10万=40万の控除が受けれます。

(障害者控除)

改正前 85歳までの1年につき6万(特別障害者は12万)
改正後 85歳までの1年につき10万(特別障害者は20万

両方とも控除額が増額されるため、減税の改正となります。

小規模宅地等の特例の改正

小規模宅地等の特例の改正は大きく分けて2つです。

(特定居住用宅地等の限度面積の拡大)

改正前 限度面積 240㎡(減額割合80%)
改正後 限度面積 330㎡(減額割合80%)

居住用の宅地を相続する場合には、土地の価格を80%減額する特例が使用できます。
ただ、これには面積制限が付いているのですがその制限が拡大されます。

(居住用と事業用の宅地等がある場合の適用面積の拡大)

改正前 特定居住用宅地等 240㎡
特定事業用等宅地等 400㎡
合計400㎡まで適用可能
改正後 特定居住用宅地等 330㎡
特定事業用等宅地等 400㎡
合計730㎡まで適用可能

事業用の宅地を相続する場合にも、土地の価格を80%減額する特例が使用できます。
居住用宅地も事業用宅地もある場合には、両方で400㎡までしか80%減額の特例が
使用できませんでしたが、改正により730㎡まで使用可能となりました。

どちらも減税の改正となります。
しかし、特定居住用宅地等の該当するか否かなど判定要件が多数あるので注意が必要です。
また平成26年度の改正でこの特定居住用宅地等の要件が一部緩和されているので要確認です。

贈与税の改正

平成27年1月1日以後に贈与を受けた贈与税について2つの改正があります。

(税率構造の改正)

基礎控除後の課税価格 改正前税率 改正後税率
一般税率 特別税率
~200万以下 10% 10% 10%
200万超~300万以下 15% 15% 15%
300万以下~400万超 20% 20%
400万超~600万以下 30% 30% 20%
600万超~1000万以下 40% 40% 30%
1000万超~1500万以下 50% 45% 40%
1500万超~3000万以下 50% 45%
3000万超~4500万以下 55% 50%
4500万超~ 55%

改正後の税率は一般と特別の2種類あります。
特別税率は20歳以上(贈与があった日の属する年の1月1日において)の者が直系尊属から贈与を受けた場合に使用できます。
直系尊属とは、血のつながった父母・祖父母のことで配偶者や配偶者の父母は含まれないので注意が必要です。

高額な贈与は増税改正ですが、子への贈与以外に孫への贈与も特別税率の対象となるので、基本的には減税の改正だと考えます。

(相続時精算課税の改正)

通常の場合生前に贈与すれば受贈者に贈与税がかかります。
しかし、相続時精算課税を適用すれば2500万円まで無税で贈与することが可能です。
一見すごく有利に感じますが、この方法で贈与した財産は相続時に精算されますので相続までを考えた場合それほど有利にはなりません。
適用する場合は、生前に多額の財産を子に異動させたい場合や相続対策が考えられます。

  改正前 改正後
贈与者 贈与をした年の1月1日において65歳以上の者 贈与をした年の1月1日において60歳以上の者
贈与をした年の1月1日において20歳以上の者 贈与をした年の1月1日において20歳以上の者
受贈者 贈与を受けた時において贈与者の推定相続人 贈与を受けた時において贈与者の推定相続人及び

贈与者の年齢が下がったのと受贈者に孫が加わったので使いやすくなったと考えます。
ただ、孫に適用してしまうと相続時に孫の2割加算が適用されるので注意が必要です。

相続時精算課税は専門的な部分が多いので慎重に検討してから行うことをお勧めします。

お問い合わせフォームはこちら

>>ページトップへ戻る